税務コラム

2017年4月 4日 火曜日

平成29年度改正税制成立



4月に入り、ようやく桜も見ごろを迎えたようです。また、確定申告も終わり、ひと段落ついたところです。

本年3月27日 一般会計の総額が過去最大の97兆4500億円余りとなり、新年度(平成29年度)予算は、参議院本会議で採決が行われ、自民・公明両党などの賛成多数で可決・成立しました。

一般会計の総額が過去最大の97兆4547億円となる新年度(平成29年度)予算案は、27日午後、参議院予算委員会で、自民・公明両党などの賛成多数で可決されたのを受けて、夕方開かれた参議院本会議に緊急上程されました。


成立した新年度予算は、一般会計の総額が過去最大の97兆4547億円で、高齢化で増え続ける社会保障費の伸びを抑えたものの、税収の伸び悩みが鮮明になり、歳入の3分の1以上を借金に当たる国債に依存する厳しい財政状況が続きます。

新年度予算では、待機児童の問題や格差の拡大に対応するため、子育て世帯や学生など若い世代への支援策を拡充したほか、働き方改革の実現に向けた予算が特徴です。

今回の改正の目玉は何といっても配偶者控除の見直しですが、すでにマスコミ等で周知されているので、今回は、中小企業関連税制の改正の主なものについてみていきます。


1.29年度の賃上げ支援が大幅に拡充
所得拡大税制について、中小企業に関しては、現行の支援措置(24年度からの給与増加額に10%税額控除)に加え、2%以上賃上げした企業は、前年度からの給与増加額の22%税額控除を受けることができるようになります(賃上げに伴う社会保険料負担を上回る控除率)。


2.中小サービス業の投資減税(固定資産税特例・即時償却)の抜本強化
①中小企業等経営強化法の認定を受けた事業者が利用できる固定資産税特例の対象(現在は機械装置)に、商店、飲食店、サービス業等で利用される一定の器具備品(冷蔵陳列棚、業務用冷蔵庫、介護用ロボットスーツ等)、建物附属設備(空調設備、エレベーター等)が追加されます。 ※一部の地域・業種については、対象外となります。

② 中小企業投資促進税制の上乗せ措置(即時償却等)についても対象に器具備品等が追加され、名称は中小企業経営強化税制となります(中小企業等経営強化法の認定が必要)。


③ 中小企業投資促進税制、商業・サービス業・農林水産業活性化税制(30%特別償却等)は、適用期限が2年間延長されます(平成30年度末まで)。

3.中小企業向け研究開発税制の強化
①研究開発費(試験研究のための人件費や経費など)の一定割合(現行12%)を法人税額から控除する研究開発税制について、研究開発費の増加率が5%を超える場合には、最大17%まで控除割合を上乗せする仕組みが新たに導入されます。
※控除できる上限について、現行法人税額の25%までのところ、研究開発費の増加率が5%を超える場合には、10%上乗せ(最大35%まで)する仕組みも新たに導入。

②ビッグデータ等を活用した第4次産業革命型の「サービス開発」も支援対象に追加されます。


4.法人税の軽減税率は延長
法人税の軽減税率(所得800万円まで大企業の23.4%を15%に軽減)は2年間延長されます(平成30年度末まで)。

5.事業承継税制 5人未満企業の雇用要件緩和・生前贈与リスク軽減
①事業承継税制の雇用要件(5年間平均8割)について、従業員5人未満の企業が従業員1人減った場合でも適用を受けられるように見直しが行われます。また、被災や主要取引先の倒産等により売上が減少した場合には雇用要件が緩和されます。

②相続時精算課税制度との併用が認められるようになり、贈与税の納税猶予の取消時の納税負担が軽減されます。


(出典:中小企業庁ウェブサイト)


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投稿者 大埜治仁税理士事務所 | 記事URL

2017年3月18日 土曜日

税務調査とグレーゾーンのリスク回避



今年の確定申告も無事終わり、ようやく一息ついているところです。

確定申告はこのところe-Taxで納税者の方が自分でも簡単に申告できるので、大分広がって来たようです。

しかし、やはり税務上判断の難しい部分はいろいろあるので、税理士に確認しながら申告は、慎重にする必要があります。

税務調査でいつも問題になるのは、税法上の解釈・適用をめぐって、納税者と当局との間で認識が異なる場合です。

いわゆる"グレーゾーン"といわれる部分です。

法律論からすれば、税法は経済法であり、公法と私法の狭間にある行政法であるため、公法的立場にある課税庁側と私法領域の立場にある納税者との間で互いに"利益相反"するからに他なりません。

このため税法は公法として「租税法律主義」や「課税要件明確主義」の観点から、税法の解釈・適用は法律に基づいて厳格に解釈適用すべきであるものとされています。

課税庁がその場の雰囲気で国民に課税していたら「公平な課税行政」に著しく支障を来し、国民経済に重大な影響を与えてしまいます。


ところが、課税という観点からみると社会におけるあらゆる経済活動はそのほとんどが課税の対象となる取引であるため、その例外として規定されている「免税」や「非課税」などの特例規定においても、厳格に解釈適用する必要があります。

しかし、こうした世の中で行われている森羅万象ほどあまねく存在する経済取引をすべて税法によって規定、判断して課税解釈をするには、どうしても法律としての物理的限界があります。

ことに法令上、例えば所得税法第204条の源泉所得税のように例示的に列挙されているものや規程上「××等」といった記載の場合については、気をつけなければなりません。

例示的な列挙の場合には、あくまで「限定列挙」であり、「記載以外のものは含まない」とするのが通例であり、「××等」といった場合には「××」以外にもそれに類似するものも含まれることになるので、安易に解釈していると後々手痛い目に遭うことにもなりかねませんので、税理士によく確認しましょう。

このため税法は本法の規定を最大の拠り所として、法令、政令、通達といった本法を補足する法令規定を置くことで、こうした問題を回避する構造になっています。

ただし、法令、政令までは法令として法的拘束力があるものとされていますが、「通達」となるとこれはあくまでも国税当局の公式解釈であり、法的拘束力が担保されているわけではありません。

ですので、当局と税法解釈に非違があり、どうしても納得のできないような場合も納税者側には当然でてくることとなります。

税務調査には直接税務職員が会社に来て行う「実地調査」が一般的なものとして国民に理解されているようですが、実地調査以前にも、税務署からの「お尋ね」や「質問」といった形式で書面で回答を求められる場合や「資料箋」といった形式で細かい取引内容についての報告を求められるケースもありますし、そもそも申告後、納税者の申告書は公文書となって当局に所有権が移転帰属することになりますから、納税者の申告書はデータベース化されて、「資料調査課」という部署で税歴表として管理され、税務分析されることになっています。

これを一般には「机上調査」と呼んでいますが、それ以外にも実地調査に入る前に問題となる事項について、裏付けをとるために金融機関や取引先へ「反面調査」が行われるケースもあることは、納税者として知っておく必要があるように思います。

今回は国税ではなく事業税(県税)についての「お尋ね」でしたが、県税の場合、課税所得が290万円を上回ると一定の非課税事業を除き、課税対象となります。

ただし、その場合でも所定の要件をいずれも満たす場合に限られているので、事業実態がこれらの要件に当てはまらない場合は、当然に課税対象とはなり得ません。

ところが、当局からの「お尋ね」は質問形式になっており、質問に対して「イエス」か「ノー」かの二択になっているため、そのいずれでもないといったケースもあります。

こうしたケースは、いわゆる税務上の「グレーゾーン」という汽水領域になります。

そうなると納税者の立場からすると「納得がいかない!」ということになって、異議申し立てということになります。

税理士はあくまでも当事者である納税者の代理人ですから、取引の実態については、納税者から事情を詳しく説明してもらえないとどうしても「お尋ね」の回答に即して「課税要件」の解釈・適用をせざるを得ません。

その結果、「課税認定」されるリスクがあります。

そういう場合は、顧問税理士に詳しく事情を説明し、場合によっては当局と交渉することで、課税が回避されるということもありますので、納得のいかない場合は、税理士と相談して、交渉に立ち会ってもらうことも、上手に税理士を利用するコツでもあります。

なお、当局に異議を申し立てる際は、主張の根拠となる証拠書類がものをいうので、必ず用意しましょう。



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投稿者 大埜治仁税理士事務所 | 記事URL

2017年3月 4日 土曜日

誤りやすい現金主義と白色申告



28年分の所得税の確定申告もあと10日ほどとなり、どこの税務署も会計事務所も佳境を迎えようとしていることと思います。

このところe-Taxでの申告も納税者に浸透してきており、納税者の皆様の意識も高まって来たようでもあります。

今回は、不動産所得の申告での相談で白色での現金主義の選択依頼がありました。

現金主義は前々年の合計所得金額が300万円以下の小規模事業者に適用される経理処理の基準です。
税務上基本となるのは「発生主義」であり、正規の簿記の原則に準拠して記帳をし、申告する期間の収入や必要経費はあくまでその期間に属するものであることとされています。

したがって、前年や翌年の収入や費用に属するものは、申告所得計算上、除外されることになり、その年の収入や必要経費となるべきものは、所得計算上算入しなければなりません。

簿記でいう「収益・費用の見越し・繰延べ」として、翌年に計上されるべき収入や費用は「前受収益」や「前払費用」として翌年に繰延べ、今年に計上されるべき収入や費用は「未収収益」や「未払費用」として今年のものとして見越し計上するということです。

これに対し、「現金主義」を選択すると現金として受け取った収入や支払った費用は、その年の所得の計算上、それぞれ計上しますが、発生主義のように収益や費用の見越し・繰延べといった手間のかかる処理はしなくても済みます。

このため、所得の少ない小規模事業者の場合、現金主義による「簡易簿記(単式簿記)」によることが認められています。しかし、そうした小規模事業かどうかの判定は「前々年の合計所得金額」で300万円以下であることが条件となっているため、300万円を超えていると適用されません。

また、摘要されるのは「白色申告」ではなく、あくまでも「青色申告」を認められた場合のみ適用が受けられることになりますので、適用を受けたいと思われる方はその年の3月15日までに「青色申告の承認申請」と「現金主義の適用申請」をする必要があります。

なお、白色申告であっても原則「記帳義務」はありますので、その点にも注意が必要です。


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投稿者 大埜治仁税理士事務所 | 記事URL

2017年3月 3日 金曜日

29年度から大きく変わる銀行融資の際の企業評価

事業の拡大・経営の維持のためには、どうしても銀行融資は必要です。

しかし、巷では、

・融資は、金融機関の言う通りにしなければならない。
・条件変更中、利益が赤字、債務超過であれば融資は難しい。
・顧問税理士事務所に任せておけば、銀行対策も教えてくれる。
・儲かっている会社でなければ事業承継できない。
・借入金が返せなければ、自己破産をするしかない。
・税金を延滞して税務署から強制執行を言い渡された。

といったことが囁かれ続けてきました。

たしかにこれらのことは、すべてとはいいませんが、実際の税務や融資における否定できない現実であります。

しかし、こうしたことはなかなか相談する相手もなく、今まで、根拠ない情報に振り回されて諦めてしまい窮状に陥ってしまうケースも世の中には多く存在します。

特にリーマンショック以降は、消費税や源泉税を滞納して税務署に返済猶予の相談をするケースも少なからずありました。


これまで、銀行は企業への融資に関しては、「金融庁の金融検査マニュアル」を参照にしながら融資の可否を決めてきました。

しかし、昨年より金融庁自体がその「金融マニュアル」自体を撤廃し、新しい融資基準を設けて平成29年度より、スタートすることになりましたが、皆様はご存知でしょうか?


昨年2016年7月1日 「中小企業等経営強化法」が施行されました。同法では、中小企業・小規模事業者・ 中堅企業等を対象として、

①各事業所管大臣による事業分野別指針の策定

②中小企業・小規模事業者等への固定資産税の軽減

③金融支援等の特例制度

④各種助成金の支給

などを通じて、デフレ経済下で疲弊する中小企業のサポートに積極的に乗り出してきました。


その一環として、金融庁は従来のような資産の担保価値重視型の「金融検査マニュアル」を撤廃し、新たに「事業性評価」を重視した「ローカルベンチマーク方式」を銀行融資の指針として提示したところです。

つまり、融資に当たっては、企業を処分した場合の財産価値=担保能力・保証機能で評価するのではなく、その企業に内在する将来性を見越した創造的な収益力を重視して融資すべしとする考え方を基本とするということです。

・これまでの「担保」「保証人」に依存してきた融資基準から、中小企業の評価を持続的な成長性を求める融資基準に変わります。

・企業経営者自らの努力で改善可能な生産性項目に焦点をあてることで、生産性改善の評価を、全面的に押し出して金融機関に交渉が可能となります。

・マル保・プロパー・長期での借入への偏重を止め、本来の増加運転資金をプロパーの「短コロ」(=短期で融資を取扱う)が
 主体に変わります。

・地域金融機関の本来の存在意義である「地域経済・企業への貢献」を再度見直し、地域金融機関に対し金融庁は越境営業による融資増を評価しなくなります。

・一部で横行した会計操作や粉飾は、逆に融資を受け辛くなる要因となり売上、利益のかさ上げによる会計操作を行うと、かえって財務評価が悪化することになります。

中小企業側も、こちらから新制度を用いた状況の変革を求め、銀行よりも先をいく必要があります。

しかし、新制度は「自ら手を挙げないと」取扱いは困難ですので、企業自身の方針や、事業の評価は、自らアピールしないと銀行も
気づくことができず、また評価もされません。

どのように自社をアピールするのか、どのように資金調達を行うのか
そのポイントは、「事業性評価」をあげることが重要となります。

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投稿者 大埜治仁税理士事務所 | 記事URL

2017年2月25日 土曜日

プレミアム・フライデー・・・崩壊と再生

既に国債残高は1000兆円を超えて、国民個人負担は800万台から900万円台に達しようとしています。

以前、MOF担は「国民貯蓄が担保としてあるから問題ない。」という趣旨の発言をしましたが、その後のドタバタで立ち消えとなってしまい、今や誰も責任を持てない時限爆弾として国民の行く手に刻一刻と差し迫っています。

社会保険庁が解体され、日本年金機構に権限移譲が行われましたが、今では、高齢者介護サービス、医療費の肥大化でもはや崩壊寸前です。

このことが原因で、昨年から社会保険の徴収が厳しくなってきました。

従来放置されていた事業所も一斉に加入義務を強制的に進められてきているため、小規模事業者で国民年金すら支払う能力のなかった家族経営の事業者にまで強制徴収が及んできています。

このため、法人から個人に変更するような動きすら出てきています。

社会保険庁の内部腐敗については、かねてより大手術が旧民主党政権交代の際に進められましたが、その財務的根本問題は、一部の厚生年金組合の破たんということでほとんど無視されてきましたが、ここへきて、中小零細企業にはボディーブローのように死活問題として顕在化してきています。

今やOECDに比べても貧困率は極めて低位となってしまったこの国の実態は、もはや今般のプレミアム・フライデーといった世耕氏のプロパガンダによっても到底、被い隠しきれない状況にまでなってきています。

少子高齢化の社会的趨勢が日本社会に及ぼしている影響は国家の存亡にまで深く影響してきています。

その国家崩壊の源がどこにあるのかは、誰も理解しようとしません。

インフレターゲットも底をつき、

まさに「放置国家」というに等しい状態です。




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