事例

2017年3月18日 土曜日

税務調査とグレーゾーンのリスク回避



今年の確定申告も無事終わり、ようやく一息ついているところです。

確定申告はこのところe-Taxで納税者の方が自分でも簡単に申告できるので、大分広がって来たようです。

しかし、やはり税務上判断の難しい部分はいろいろあるので、税理士に確認しながら申告は、慎重にする必要があります。

税務調査でいつも問題になるのは、税法上の解釈・適用をめぐって、納税者と当局との間で認識が異なる場合です。

いわゆる"グレーゾーン"といわれる部分です。

法律論からすれば、税法は経済法であり、公法と私法の狭間にある行政法であるため、公法的立場にある課税庁側と私法領域の立場にある納税者との間で互いに"利益相反"するからに他なりません。

このため税法は公法として「租税法律主義」や「課税要件明確主義」の観点から、税法の解釈・適用は法律に基づいて厳格に解釈適用すべきであるものとされています。

課税庁がその場の雰囲気で国民に課税していたら「公平な課税行政」に著しく支障を来し、国民経済に重大な影響を与えてしまいます。


ところが、課税という観点からみると社会におけるあらゆる経済活動はそのほとんどが課税の対象となる取引であるため、その例外として規定されている「免税」や「非課税」などの特例規定においても、厳格に解釈適用する必要があります。

しかし、こうした世の中で行われている森羅万象ほどあまねく存在する経済取引をすべて税法によって規定、判断して課税解釈をするには、どうしても法律としての物理的限界があります。

ことに法令上、例えば所得税法第204条の源泉所得税のように例示的に列挙されているものや規程上「××等」といった記載の場合については、気をつけなければなりません。

例示的な列挙の場合には、あくまで「限定列挙」であり、「記載以外のものは含まない」とするのが通例であり、「××等」といった場合には「××」以外にもそれに類似するものも含まれることになるので、安易に解釈していると後々手痛い目に遭うことにもなりかねませんので、税理士によく確認しましょう。

このため税法は本法の規定を最大の拠り所として、法令、政令、通達といった本法を補足する法令規定を置くことで、こうした問題を回避する構造になっています。

ただし、法令、政令までは法令として法的拘束力があるものとされていますが、「通達」となるとこれはあくまでも国税当局の公式解釈であり、法的拘束力が担保されているわけではありません。

ですので、当局と税法解釈に非違があり、どうしても納得のできないような場合も納税者側には当然でてくることとなります。

税務調査には直接税務職員が会社に来て行う「実地調査」が一般的なものとして国民に理解されているようですが、実地調査以前にも、税務署からの「お尋ね」や「質問」といった形式で書面で回答を求められる場合や「資料箋」といった形式で細かい取引内容についての報告を求められるケースもありますし、そもそも申告後、納税者の申告書は公文書となって当局に所有権が移転帰属することになりますから、納税者の申告書はデータベース化されて、「資料調査課」という部署で税歴表として管理され、税務分析されることになっています。

これを一般には「机上調査」と呼んでいますが、それ以外にも実地調査に入る前に問題となる事項について、裏付けをとるために金融機関や取引先へ「反面調査」が行われるケースもあることは、納税者として知っておく必要があるように思います。

今回は国税ではなく事業税(県税)についての「お尋ね」でしたが、県税の場合、課税所得が290万円を上回ると一定の非課税事業を除き、課税対象となります。

ただし、その場合でも所定の要件をいずれも満たす場合に限られているので、事業実態がこれらの要件に当てはまらない場合は、当然に課税対象とはなり得ません。

ところが、当局からの「お尋ね」は質問形式になっており、質問に対して「イエス」か「ノー」かの二択になっているため、そのいずれでもないといったケースもあります。

こうしたケースは、いわゆる税務上の「グレーゾーン」という汽水領域になります。

そうなると納税者の立場からすると「納得がいかない!」ということになって、異議申し立てということになります。

税理士はあくまでも当事者である納税者の代理人ですから、取引の実態については、納税者から事情を詳しく説明してもらえないとどうしても「お尋ね」の回答に即して「課税要件」の解釈・適用をせざるを得ません。

その結果、「課税認定」されるリスクがあります。

そういう場合は、顧問税理士に詳しく事情を説明し、場合によっては当局と交渉することで、課税が回避されるということもありますので、納得のいかない場合は、税理士と相談して、交渉に立ち会ってもらうことも、上手に税理士を利用するコツでもあります。

なお、当局に異議を申し立てる際は、主張の根拠となる証拠書類がものをいうので、必ず用意しましょう。





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投稿者 大埜治仁税理士事務所