事例

2017年2月14日 火曜日

事業廃止後に純損失の繰越控除は可能か?

事業廃止後に純損失の繰越控除は可能か?

事業を営んでいた者で青色申告書により純損失を繰り越していた者が、事業を廃止して青色申告書の提出を止めた場合に、以後の給与所得等と事業廃止時に残っていた純損失を損益通算できるのかどうかという疑問が生じます。

結論として、「可能ではありますが、条件があります。」

所得税法第70条4項では「
その後において連続して確定申告書を提出している場合に限り、適用する。」とされています。

また、「純損失の繰越控除」は基本的に事業所得・
純損失の繰越控除は損益通算を前提とした制度ですので、同制度の適用により救済される損失は、当然に損益通算によって損失を控除することが認められている次の4つの所得に関するものに限定されることになります。

1.不動産所得 2.事業所得 3.山林所得 4.譲渡所得


純損失の繰越控除ができるのは、所法70条1項(青色申告者)及び2項(白色申告者)において、その年の前年以前3年内の各年において生じた純損失の金額(白色申告の場合は被災事業用資産の損失など一定の損失に限られます。)がある場合に、確定申告書を提出する年分の、不動産所得金額、事業所得金額、退職所得金額及び山林所得金額等の計算上控除することができるとされています。

所法70条4項において、所法70条1項又は2項の規定は、これらの規定に規定する居住者が純損失の金額が生じた年分の所得税につき1項の青色申告書又は2項各号に掲げる損失の金額に関する事項を記載した確定申告書を提出した場合であって、それぞれその後において連続して確定申告書を提出している場合に限り、適用するとされています。

よって、事業を廃止した際に残っている純損失は、その後の年分について連続して確定申告書を提出していれば、
不動産所得金額、事業所得金額、退職所得金額及び山林所得金額がある場合に限り、純損失の繰越控除の適用はできることになります。

【参照条文・所得税法第70条】

(純損失の繰越控除)
第七十条   確定申告書を提出する居住者のその年の前年以前三年内の各年(その年分の所得税につき青色申告書を提出している年に限る。)において生じた純損失の金額(この項の規定により前年以前において控除されたもの及び第百四十二条第二項(純損失の繰戻しによる還付)の規定により還付を受けるべき金額の計算の基礎となつたものを除く。)がある場合には、当該純損失の金額に相当する金額は、政令で定めるところにより、当該確定申告書に係る年分の総所得金額、退職所得金額又は山林所得金額の計算上控除する。

2   確定申告書を提出する居住者のその年の前年以前三年内の各年において生じた純損失の金額(前項の規定の適用を受けるもの及び第百四十二条第二項の規定により還付を受けるべき金額の計算の基礎となつたものを除く。)のうち、当該各年において生じた次に掲げる損失の金額に係るもので政令で定めるものがあるときは、当該政令で定める純損失の金額に相当する金額は、政令で定めるところにより、当該申告書に係る年分の総所得金額、退職所得金額又は山林所得金額の計算上控除する。
一   変動所得の金額の計算上生じた損失の金額

二   被災事業用資産の損失の金額

3   前項第二号に掲げる被災事業用資産の損失の金額とは、棚卸資産又は第五十一条第一項若しくは第三項(資産損失の必要経費算入)に規定する資産の災害による損失の金額(その災害に関連するやむを得ない支出で政令で定めるものの金額を含むものとし、保険金、損害賠償金その他これらに類するものにより補てんされる部分の金額を除く。)で前項第一号に掲げる損失の金額に該当しないものをいう。

4   第一項又は第二項の規定は、これらの規定に規定する居住者が純損失の金額が生じた年分の所得税につき確定申告書を提出し、かつ、それぞれその後において連続して確定申告書を提出している場合に限り、適用する。

5   第一項及び第二項の規定による控除は、純損失の繰越控除という。 


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投稿者 大埜治仁税理士事務所