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2017年1月23日 月曜日

トランプ政権発足とSNS比較優位論

トランプ政権発足とSNS比較優位論



古典経済学の祖、アダムスミスから派生したデビッド・リカードは、かつて、貿易における経済分析において「比較優位」という概念を提唱しました。

アダム・スミスが提唱した「絶対優位(absolute advantage)」の概念を柱とする学説・理論を修正する形で提唱されたものです。

これは、自由貿易において各経済主体が(複数あり得る自身の優位分野の中から)自身の最も優位な分野(より機会費用の少ない、自身の利益・収益性を最大化できる財の生産)に特化・集中することで、それぞれの労働生産性が増大され、互いにより高品質の財やサービスと高い利益・収益を享受・獲得できるようなることを説明する概念です。

要するに、リカードの「比較優位論」は、国の貿易の必要性を説明するのに用いられる考え方であり、。A国とB国でそれぞれ得意なものに特化し、得意でないものを貿易によってまかなう国は、貿易をしない場合に比べて、はるかに両方の国が豊かになるという考え方ということです。

今般、TPP貿易協定が進められてきたのは、この理論が根底にあるといっても過言ではありません。

それが、トランプ大統領によって、根底から覆されようとしているとの見方もありますが、冷戦終結後、超大国一国となったアメリカ合衆国が、イラクのフセイン大統領政権転覆から、9.11を経て、その間のグローバリズムの世界的拡散と中露の台頭、主力だった自動車産業等の著しい国内経済の疲弊、リーマンショック、サブプライム問題の顕在化に至り、もはやマネタリズムのマジックでは、到底、アメリカ経済の優位性を維持できなくなった故の保護主義への転換であることは、いうまでもありません。

さて、リカードの「比較優位理論」に立ち戻りますと、WEB広告・マーケティング業界に起こっている現在進行中の"コンテンツ・マーケティング"をはじめとするネット上でのBtoB取引にもこの理論を当てはめることができるようです。

表面的には、マス媒体からネット広告、さらにSNS=ソーシャルメディアへのシフトが進んでいることは、既存の事実として、ネットユーザーならば、誰しもが認知していることでしょう。

しかし、前出のD.リカードの「比較優位論」に照らすと、この現象の裏には、「マーケティング」は誰が主体におこなうのが全体最適性を高めるのか、という問題があるといえます。

従来のマーケティングの主体である企業=生産者から、顧客=消費者がマーケティングの主体に変わることで、全体効率性を高める「比較優位理論」が成り立っているといえます。

本来のD.リカードの「比較優位理論」からすると、特化するのは他社に対して優位であるとするA.スミスの提唱した「絶対優位性」である必要はなく、「自社の相対的優位性」で問題はないはずです。

国家でもそうですが、「相対的な比較優位」で交易をしない国の将来はどうなるのでしょうか? 

その結果は、自国の得意な部分に特化して、得意でないものを交易によって調達する国よりも貧しくなるというのが、「比較優位論」の示唆するところでもあります。

企業はうまく消費者にマーケティングをバトンタッチできる企業は栄えるし、そうでない企業は滅んで行くというのが、リカードの「比較優位論」の導いた結論でもあります。

サイト上の"口コミ"をうまく活用して競争優位を獲得してきた企業はいち早くこの事実に気付いた企業と言えるでしょう。

SNSの時代となり、次の段階の競争も始まりつつあります。単に"口コミ"を自社サイトに他社に先じて取り入れるだけでは競争優位を築くのは難しくなるでしょう。

これまでのようなネット上での「比較優位」による大きな企業格差は縮まりつつあります。この事実にいち早く対応でない企業は第2段階でのネット競争には勝ち残ることは難しくなるといわれています。

このことは、国家間での「比較優位」による「格差拡大」と軌を一にして進行するように思われます。







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投稿者 大埜治仁税理士事務所