税務コラム

2017年1月16日 月曜日

50年ぶり!!下請法の改正と下請けからの脱却

50年ぶり!!下請法の改正と下請けからの脱却


1.下請法(下請代金支払遅延等防止法)の改正
 数年前から中小企業庁から「下請け」についてのアンケート調査の用紙が何度か送られてきました。

 昨年12月14日政府・中小企業庁は下請け取引環境の改善に向け、「下請代金支払遅延等防止法」(下請法)の一部を見直しされた通達を公表しました。

 これは9月15日に発表された「未来志向型の取引慣行に向けて(通称・世耕プラン)」に基づくもので、支払手形の期間短縮を促すなど、下請け業者への支払いルールを厳格化され、実に約50年ぶりの見直しです。

 下請法は、下請取引の公正化・下請事業者の利益保護を目的とする法律(正式名称:下請代金支払遅延等防止法)です。

企業間における物品の製造加工、修理等の委託、各種コンテンツ、デザイン等の情報成果物の作成委託、事務代行などの役務提供の委託の各取引において、仕事を発注する側の「親事業者」が、受注する側の「下請事業者」に不利益を押し付けないように様々な規制や罰則を設けています。

下請法は不当な下請代金の値引き要請、支払期日の延期などを防止する法律です。今回の見直しでは、同法で禁止する割引困難な手形に関する期間の定義が変更されました。

これまで、割引困難な手形の期間を繊維業が90日、それ以外の業種は120日以内と定められていましたが、これが60日に短縮されました。

 さらに下請け事業者に対する支払いは、原則として手形ではなく現金とすることが親事業者に要請されます。手形の場合でも、割引負担料を発注側である親事業者が負担するよう求めています。

このほか不適正な原価低減要請や金型保管コストの押しつけといった違反行為の事例追加も公正取引委員会に要請するものです。

併せて親会社となる企業に、業種別に自主行動計画の策定を要請する。下請け企業が不利益を被ることがないように取引環境を改め、収益性の向上を後押ししつつ賃上げの環境整備を進めるとしています。
 
2.強まる脱下請けの傾向
中小企業庁によると、いわゆる「下請け」と呼ばれる取引形態は減少傾向にあるそうです。81年に65%超だった下請け企業の割合は98年には48%まで低下しています。
 
その背景には、かつては下請けにも安定的に仕事を受注できるなどのメリットがありましたが、経営環境の変化によりそのメリットも失われつつあることが大きいようです。

 また、下請け受注比率の低下を望んでいる企業が多いということもあります。脱下請けのためには自社製品の開発が不可欠ですが、そう簡単ではないようです。

 日本能率協会が279社に対して行なったアンケート調査「企業の経営課題―事業開発編」からの抜粋で、「国際競争力の視点からみた競争力の自社評価」を訊いています。58%の企業が「事業創造力が不足している」と自己評価しています。

3.自社のスキルを別の角度から見直す
 しかしながら、そのうちの半数近くが「技術の革新性はある」と自己評価しているわけですから、実にもったいないと言わざるを得ません。

 下請けを中心にしてきた企業には、元々技術力、企画力に優れた企業が少なくありません。発注元のレベルの高い要求に応えてきたのがその証です。ですから、自社製品を開発しようというとき、長年培ってきたスキルを活用しない手はありません。

 ただ、そのスキルをこれまで携わってきた市場に投入しようとしても、従来の発想から抜け出ることは困難です。

ですから、これまでのスキルを活かして、別の市場に進出することが下請け企業からの脱却のひとつの道でもあります。

実際、自動車部品の製造をしていた会社が、その研磨技術を活かしてカクテル作りに使うシェーカーやメジャーカップを製造した例もあります。(「ガイアの夜明け」より)

製品の内側を徹底的に手作業で磨いたことで、水切れの良いまったく新しい道具ができあがり世界中から注文が来ています。

一定の枠組みの中にいると、新しいイノベーションとか、新しい仕事を見つけ出していくのは難しいといえます。

人はその職場に慣れないと良い仕事はできません。しかし、その職場以外のことはまったく知らない世界となってしまいます。それが普通の人の働き方なのですが、経営者である以上、それだけでは、危険なのです。

新しいことを考える時は、わざと外に出て、つまり安心領域の外側に出て考える必要がありますし、自社の現状を把握するには、会社から一歩外に出て、まったく違う業界の人たちと接する必要もあるのだと思います。

会社の外に出て初めて、今までやってきたことも客観的にで見ることができますし、新しいアイディアを思いついたり、それが通用するかどうかも判断がつきます。

しかし、ここで「やっぱりうちでは無理」と諦めないことです。

自動車部品を作っている人からしたら、「カクテルシェーカー?そんなのムリに決まってるだろ」と言われるのが落ちかもしれません。

でも、それが「下請けからの脱却」の突破口となり、自社が大きく飛躍するチャンスになることだってあるのです。

ある市場では当たり前のスキルが、別の市場ではまったく目新しいものということは十分にあり得ます。広く視野をとればそのスキルを活かす新たな分野があるはずです。

"あらゆるものには輝くダイヤが隠されている。磨けば光る。" トーマス・エジソン

4.会社の外から自社を見直す
私も昨年、商工会議所の集まりに参加しました。たまたま同席したのは、県内でも有数の企業であるS鉄企業とSビルの経営者の方でした。最初からこんな偉い人たちと接触するなんて、自分でもどうしてよいかわからなくなるほどで、正直、萎縮してしまいました。

しかし、話を聞くうちにいろいろなことが見えてきました。特に大手企業と中小企業の視野の違いは、決定的に天と地との差があることに気づかされました。

以前は、業界団体の集まりでよくゴルフに誘われもしましたが、やはり、同業者同士の集まりのため、会話の内容もみな同じ視点からの話題ばかりとなってしまい、考えていることが業界の枠組みから出ていないことは薄々気づいていました。

要は自分の殻に閉じこもらないで、臆せず積極的に異業種の方たちと接して、いろいろな情報を得ること、その中からこれだといったものを見つけ出すという姿勢は必要なように思います。



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投稿者 大埜治仁税理士事務所