事例

2016年11月 7日 月曜日

SWOT分析と経営戦略



経済学の基礎理論に「市場の完全性」(完全競争市場)についての議論があります。

ある一定の前提の下では、市場は需要と供給の均衡によりパレート最適な配分を実現し、安定した経済を形成すると考えられているのが、
「自由市場のメカニズム」であり、資本主義経済の前提条件とされてきたことは、万人の周知するところです。

ただし、人々や企業が利潤を最大化しようと利己主義的に行動(見えざる手)したことで、社会的に望ましくない最適(パレート最適)ではない結果がもたらされるケースもあるというのが、いわゆる「市場の失敗」とされ、「独占問題」や「外部不経済性」、「情報の不確実性」などの理由により、「完全競争」は必ずしも実現しないということでした。

これと同時に経営学の世界でもハーバート・サイモンにより、「完全競争」の前提ともなる合理的経済人仮説(「自由市場に参加する人間・企業はすべての情報を持ち、常に合理的に行動する」という前提理論)について、必ずしも、すべての情報を得ることはできず、限られた情報ソースの中から取捨選択して、最も最適な方法を選択しているとする「限定合理性に基づく意思決定論」を提唱、確立したことで、1978年ノーベル経済学賞を授与されました。

そうした環境下において、SWOT分析は、すでに1920年代からハーバードビジネススクールのビジネスポリシーコースの一部として開発されてきた、ハーバードポリシーモデルの一部とされます。

企業や個人の目標が明確である場合、SWOT分析は戦略計画マトリックス・ツールとして有用とされ、現在、「強み」と「弱み」を見極める企業の分析ツールとしても注目を集めています。

強み:目標達成に貢献する組織(個人)の特質。
弱み:目標達成の障害となる組織(個人)の特質。
機会:目標達成に貢献する外部の特質。
脅威:目標達成の障害となる外部の特質。

「強み・弱み」については、以下の要素が揚げられます。

•資源(財務・知的財産・立地)•顧客サービス•効率性•競争上の優位•インフラ•品質•材料•経営管理•価格•輸送時間•コスト•容量•主要顧客との関係•市場における知名度・評判•地域言語の知識•ブランド•企業倫理•環境

「機会・脅威」については、以下の要素が揚げられます。

•政治・法令•市場トレンド•経済状況•株主の期待•科学技術•公衆の期待•競合他社の行為


的確な意思決定にはSWOTの正しい理解が必要である。意思決定者は与えられたSWOTを元に目標が達成可能であるかを判断し、達成が不可能であると判断した場合、別の目標を元に、再度SWOT分析をやり直す必要がある。達成が可能であると判断した場合、以下の質問に対する回答を考えることで、創造的な戦略につなげることができる。

どのように強みを活かすか?
どのように弱みを克服するか?
どのように機会を利用するか?
どのように脅威を取り除く、または脅威から身を守るか?

事業を経営するにあたり事業戦略を立てる上で、自社の持つ経営資源(ヒト・モノ・カネ)について、規模の小さな企業にとってはことさら限界があります。 
 
これらを最も有効に活用し、成果をあげなければ企業経営は立ち行きません。そのためにも、まず、自社の置かれている状況を客観的に把握し、「内部環境」の「強み」と「弱み」、「外部環境」の「機会」と「脅威」をマトリックスに把握することで整理し、自社のパフォーマンスを最大限に引き出す「経営戦略」を立てる必要があります。

経営戦略を立案するには、フレームワーク思考を身につけると効率的です。フレームワークとは「自分の考えを整理するための枠組み」であり、 SWOT分析は「経営戦略立案」のための最も代表的な企業経営の状況分析ツールです。

ちなみに、SWOT項目は「企業状況」についての項目であり、「企業行動」を意味する「戦略」とは、似て非なるものです。

戦略は行動を定めるのに対して、SWOT項目は状況を説明するものであり、戦略はクロスSWOT分析によって策定されます。

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投稿者 大埜治仁税理士事務所