税務コラム

2016年11月15日 火曜日

特別受益について



特別受益とは

子どもが父母から、結婚資金や住宅の購入資金などの援助を受けることはよくあることです。

このような援助は、相続の際に、よくトラブルの原因になることがあります。

「他の兄弟には結婚費用や住宅購入資金の援助があったのに、自分にはなかったのは生前贈与で不平等だから相続の時はその分をなんとかし
てほしい」といった相続人はどこの家庭でもでてくるものです。

「他の兄弟は、既に数百万円もの援助を得ていたのに、遺産分割は同じ割合で」ということになれば、たしかに不公平な印象は否めません。

そのようなトラブルを防ぐための制度が「特別受益」という制度です。

民法第903条(特別受益者の相続分)

1.共同相続人中に、被相続人から、遺贈を受け、又は婚姻若しくは養子縁組のため若しくは生計の資本として贈与を受けた者があるときは、被相続人が相続開始の時において有した財産の価額にその贈与の価額を加えたものを相続財産とみなし、前三条の規定により算定した相続分の中からその遺贈又は贈与の価額を控除した残額をもってその者の相続分とする。

2.遺贈又は贈与の価額が、相続分の価額に等しく、又はこれを超えるときは、受遺者又は受贈者は、その相続分を受けることができない。

3.被相続人が前二項の規定と異なった意思を表示したときは、その意思表示は、遺留分に関する規定に違反しない範囲内で、その効力を有する。















「特別受益」とは、共同相続人の中に被相続人から遺贈を受けていたり、生前に贈与を受けていたなどの事情がある場合には、
相続分の前渡をされていたものと考えて、その者の相続分を減らすことによって相続人間の衡平を図ろうとする民法上の規定で
す。

その場合、被相続人から生前贈与や遺贈を受けていた者を「特別受益者」と呼びます。

「特別受益」となるのは、被相続人から相続人にされた「生前贈与」または「遺贈」となります。

被相続人から相続人ではない第三者にされた「生前贈与」や「遺贈」は特別受益とはなりません。

また、遺贈は原則として「特別受益」となりますが、生前贈与の場合はある一定の範囲の物が「特別受益」とされます。

特別受益者とされるのは、共同相続人のうちで、被相続人から次の利益を受けた者です。

1婚姻、養子縁組のため、もしくは生計の資本として、贈与を受けた者
 結納金・持参金・花嫁道具・挙式費用・新婚旅行費用・新居の費用など

※金額が少ない場合などは特別受益と見なされない場合があります

2生計の資本としての贈与
 住宅購入資金・事業(開業)資金・大学進学費用・海外留学費用など、子供が独立する際に家を建ててもらったり、農家において農地を贈与することなど

3その他
 生命保険金などが非常に高額だった場合などは、特別受益と見做されることがあります。


1年以内の生前贈与 
被相続人が亡くなる前にすべての財産を贈与してしまった場合、残された相続人は一切の財産を相続することができなくなってしまいます。これを阻止する
という意味で、亡くなる1年以内にあった贈与は、すべて相続財産として計算されることになっています。

被相続人が亡くなる1年以内に特定の誰か(相続人でなくても)に財産を贈与していたとしても、その贈与自体が無効となり、贈与されていた財産はすべて
相続財産の中に組み込まれることになります。

※なお、特別受益とされる生前贈与には遺留分のように故人の死亡1年以内のものといった制限はなく、生前にされた贈与であればいつ行ったものであって
もかまいません。


特別受益とされた場合の相続分の持ち戻し(持戻免除の意思表示)


被相続人が遺贈なら遺言で、生前贈与ならなんらかの方式でそれらの贈与は相続とは関係ない旨の意思表示をしていた場合は特別受益としては考えません。

共同相続人に生前贈与や遺贈がなされていた場合にそれを特別受益として考えるのは、被相続人が特段の意思表示をしていない限りは、故人が相続人に対
して相続分を前渡しする意思だったと考えるのがもっとも合理的だからです。

したがって、被相続人が共同相続人に対して行った生前贈与や遺贈について、特別受益とはしない旨の意思表示をしていた場合には、他の相続人の遺留分を
侵害しない限り、生前贈与や遺贈を受けた相続人はそれをそのまま保持することができます。



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投稿者 大埜治仁税理士事務所