税務コラム

2016年11月 2日 水曜日

個人年金について



このところ、日本社会の急速な少子高齢化にともない国民年金や厚生年金など公的年金の財政不安が取り沙汰される中、その自衛策として自分自身で老後の備えをしようとする方も増えてきています。私的年金とも言われ、その方法として個人年金保険があります。

個人年金には積立型と一時払い型があります。所得税・住民税の控除が受けられるうえ、死亡保障もあり、将来の私的年金として貯蓄よりメリットが多いと言えます。

個人年金保険は、生命保険の一種であり、老後の生活資金を準備する目的で加入する生命保険ですが、生命保険会社以外にも、損害保険会社や銀行、証券会社でも取り扱いがなされています。

加入している間に死亡したときに支払われる保険金は払い込んだ保険料程度で、死亡保障機能はほとんどありません。そのため「生存保険」とも呼ばれます。

【個人年金保険のタイプ】
個人年金保険は積立タイプと一時払の2つのタイプに大別されます。

積立タイプは月払・半年払・年払といった方法で、毎年積立ながら資産形成を行っていくというもので、一時払タイプは、一時に一括して全額を払込む保険です。
一時払タイプは現在保有している他の預貯金等の金融資産を個人年金保険に振り替えることによって、老後に向けてより効果的な資産形成をしていこうとするものです。

基本的に「個人年金保険」は契約時に定めた一定年齢まで積み立て、契約時に定めた一定年齢から年金を受け取っていくという形式ものです。年金の受け取り方法はそれぞれのライフプランにあわせて、確定年金・定期年金・保証期間付終身年金の3種類から選択できます。また、年金としてではなく、一時金として受取ることもできます(一時金の場合、年金として受取る場合より少ない金額になります)。さらに、個人年金保険には、入院保障などの特約をつけることもできます。

すでにまとまった金融資産を持っている方は、一時払の方法で個人年金保険に加入するのも有効だと思います。こちらは契約時にまとまった金額の保険料を一時払の方法で保険会社に支払って一定期間運用してもらい、あらかじめ決めておいた所定の運用期間満了後から、運用成果(年金原資)を年金として、または一括で受取ることができます。
積立タイプと同様に、年金の受取期間は確定年金、終身年金、保障期間付終身年金などさまざまな選択肢があります。

【個人年金による節税効果】
個人年金保険は「個人年金の生命保険料控除」の対象となっているため、年末調整や確定申告において、一定の所得控除をうけることができます。
個人年金保険料控除の対象となる要件は以下の通りです。

1.年金受取人は、契約者またはその配偶者
2.年金受取人は被保険者と同一人
3.保険料の払込期間は10年以上
4.(確定年金の場合)年金開始年齢は60歳以上かつ、年金支払期間は10年以上

※保険料払込期間中に被保険者に死亡等万一のことがあった場合、それまでに払い込んだ保険料が死亡給付金として支払われます。

【所得税の所得控除額】
所得税法上控除できる個人年金保険の生命保険料控除額は以下のようになっております。

<年間の支払保険料等 控除額>

20,000円以下   支払保険料等の金額
20,000円超 40,000円以下 支払保険料等 × 1/2 + 10,000円
40,000円超 80,000円以下 支払保険料等 × 1/4 + 10,000円
80,000円超  一律40,000円

【住民税の所得控除額】
また、住民税での個人年金保険の生命保険控除額は以下のように算定されます。

<年間の支払保険料等 控除額>
支払った保険料          控除額
〜12,000円         全額
12,000円〜32,000円   支払額 × 1/2 + 6,000円
32,000円〜56,000円   支払保険料等 × 1/4 + 14,000円
56,000円〜 28,000円  一律 28,000円 


以上のように控除の条件を満たせば、最高、所得税で4万円・住民税で2万8千円の控除が受けられることになります。仮に所得税・住民税ともに税率10%とすると、両方合わせて年間で68,000円の節税効果になります。

老後に向けた資産形成を図りながら、その一方で毎年の所得税・住民税の負担が減るわけですから、十分メリットがあります。

【個人年金のデメリット】
しかし、「個人年金保険」にも、いろいろとデメリットがあります。「個人年金」の場合、長期にわたって保険料を払い続ける必要があり、家計としては固定支出となります。家計に余裕があるシングルのうちに加入し、結婚後に続ける余裕がなくなって困っているというケースも少なくありません。早期に解約するとやはり元本割れするケースもあるので、その点も考慮する必要があります。

今、主流の「10年確定年金保険」だと、年金を受け取れるのは10年間だけで、自分でためた貯蓄を10年かかって取り崩すのと同じで、それ以上続けて受け取れるものではないのです。公的年金の将来が期待できないと、若い世代からの期待はありますが、公的保障があってこその上乗せ保障です。

保険の収益性を表す「返戻率」は、支払保険料総額に対する受取総額がいくらかの割合です。「返戻率110%」と表示されていれば「得」と思いがちですが、長期にわたる契約期間の保険のため、他の有効な運用手段についても検討する必要があります。

これから年末にかけて年末調整で会社から扶養異動申告書や生命保険料等の控除申告書の提出が求められる時期となりました。保険会社からも生命保険料控除の通知がお手元に届いてきていることと思います。

超低金利時代の今だからこそ、今この時期に個人年金保険のメリットとデメリットを再確認してみることをお勧めします。





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投稿者 大埜治仁税理士事務所