税務コラム

2016年11月16日 水曜日

被相続人が認知症になってしまった場合の相続


65歳以上の高齢者のうち認知症を発症している人は推計15%で、2012年時点で約462万人に上ることが厚生労働省研究班の調査で明らかになっています。認知症の前段階である軽度認知障害(MCI)の高齢者も約400万人いると推計されています。65歳以上の4人に1人が認知症とその"予備軍"となる計算です。 今や認知症は国民病と言えるほど、広範な社会現象とすらなってきています。

問題なのは認知症の方がご家族にいて相続が起きてしまった場合です。 ご存知の方も多いと思いますが、認知症として被後見人に認定されると、本人がいくら遺言で意思表示をしても、裁判所が遺言の効力について認めることはほとんどありません。

仮に公正証書遺言をしたとしても、裁判により、否認されてしまう確率は極めて高いと言えます。 しかし、遺言がないとある程度遺産のある相続では、分割を巡って必ずと言ってよいくらい紛争となります。家族関係は、一旦こじれると幼少期まで遡っての因縁の争いへと発展し、収拾のつかない泥沼に陥ってしまうケースは数多あります。

そうした意味では、むしろ、遺産などない方が、家族間紛争は起こらず、平穏な生活となるため精神衛生上よほど健全であるともいえます。 仮に遺産に負債があり債務超過となっている場合は、相続開始後3か月以内に「限定承認」して債務弁済をするか、「相続放棄」して一切相続しないことも法的に可能です。

ですので、親御様が亡くなった際は、出来るだけ速やかに債務がどれだけあるかを事前に調査し、負担できそうにない場合は、家庭裁判所に申し立てることが必要です。

しかし、判例では要介護度4の方でも、単純な内容の遺言であれば認められた事例もあるようですので、この辺は極めてデリケートな法律上の扱いとして弁護士さんによく相談することをお勧めします。

相続は、亡くなる前からすでに始まっていることを十分認識し、ご本人の意思を尊重して、ご家族が不幸にならないよう早目の対策が重要です。事前に専門家に相談することが、「相続」を「争族」としないためにもとても重要であることをご理解ください。


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投稿者 大埜治仁税理士事務所