事例

2016年10月14日 金曜日

税務調査の季節



今年も10月半ばとなり、税務調査の季節が来ました。

8月の人事異動が終わり1月経つと職員も所轄に慣れて、税務調査が本格的にスタートします。当事務所でも、早速、立会いの依頼が発生しました。

税務調査は通常、所轄税務署の行う「任意調査」が中心です。税務調査は正式には「質問検査権の実施」といい「任意調査」ということは、法律的な強制力(国税犯則取締法)を伴う「強制調査(いわゆるマルサ)」とは違い「納税者の同意」を得て行われるものです。

平成25年1月1日以降税務調査は、原則して「税務調査」を行う旨、納税者及び税理士に「事前通知」をすることになっています。通知の内容は、「①開始日時②場所③目的④対象税目⑤対象期間⑥対象となる帳簿書類」の各項目です。

「任意」といっても税務署には「質問検査権」として国税通則法74の2(所得税・法人税・消費税の質問検査権)及び国税通則法74の3(相続税・贈与税)に規定されており、納税者は自己の都合で日時等の指定変更はできますが、「受忍義務」があるため、調査自体を拒否することはできません。

質問検査権とは、「国税庁等の職員が、税務調査時に必要がある時は納税義務者等に質問し、帳簿書類その他の物件を検査し、または当該物件の提示もしくは提出を求めることができる」というものです。

また、調査を拒否したり、妨害したり、質問に答えなかったり、虚偽の帳簿を提示したりすると1年以下の懲役または50万円以下の罰金に処せられますので、くれぐれもご注意願います。

なお、調査の理由については、国税庁は「法令上、調査の目的(例えば、提出された申告書の記載内容を確認するため)については事前通知すべきこととされていますが、実地の調査を行う理由については、法令上事前通知すべき事項とはされていませんので、これを説明することはありません。」(国税庁HP)としており、従前どおり、調査の理由や目的を説明しないこととなっております。

通常の任意調査では、調査官が1人から2人で午前10時から昼休み(1時間)を挟んで午後4時まで臨場調査を行います。

まず、初めに調査官の証明証を提示してから、世間話を小1時間ほどし、元帳など帳簿書類を調べていきます。世間話であっても、調査官は部屋にあるカレンダーやポスター、ライターやメモ帳など名入り広告でどのような取引先があるのかを確認したり、納税者の態度や様子を観察して、隠し事をしていないか、虚偽の受け答えをしていないかなど、鋭く観察していますので、取り繕うことなく平静心で落ち着いて調査に臨むことを心がけていただきたいところです。

調査のポイントは①売上の過少計上②仕入の過大計上③期末棚卸の過少計上④人件費の過大計上(特に役員報酬については「定期同額給与」規定により、特別の事情がない限り期中の増減は否認されますから、ご注意ください)⑤外注費か賃金給与かなど(原則課税の場合の消費税の仕入税額控除)⑥修繕費か減価償却資産かの認定⑦諸経費(交通費や交際費、会議費など)の架空計上⑧経過勘定項目(未払費用や前受費用など収益費用の見越し繰延べ処理)などです。

特に売上や賃貸契約やリース契約など費用収益の期間帰属(その事業年度に収益・費用が適切に配分されているか)については、請求書や契約書に基づいて適法に処理されているか、事前に税理士と打ち合わせして、非違があれば、修正申告を検討するなど、調査協力の姿勢をとることが、調査を早く終わらせる秘訣です。

また、強制調査ではないので、私物の入った机の引き出しなどを調べる際は納税者の許可をとることが前提とされていますので、必ず許諾確認はとるようにして下さい。特に個人の秘密といったプライベートについてまでは調査権があるとはいえ、個人の尊厳を損ねたり、人間関係を棄損するような言動は越権行為にもなりますので、控えるように指摘することも場合によっては必要です。

税務調査はほとんどの場合、実地調査に入る前に事前に準備調査が行われているので、あまり無理に隠し立てせずに素直に応じることが、調査を早く終わらせる秘訣です。無理に嘘をついたり、虚偽の資料を提示したりするのは、「調査拒否」ないし「非協力」として、すでに述べたように罰則の適用すらありえますので、厳に慎むべきです。

特に同族会社では、「同族会社の行為計算否認規定(法人税法132条)」の適用によって、過大な役員報酬や無償又は著しく低廉な地代家賃などの賃貸料等は「経済的利益の供与」として、損金不算入や源泉税追徴課税等の厳しい処分となるケースが多いので、注意する必要があります。


このエントリーをはてなブックマークに追加
このエントリをlivedoorクリップに登録
このエントリをBuzzurlにブックマーク

投稿者 大埜治仁税理士事務所