事例

2016年10月11日 火曜日

長続きする店舗経営



1.長続きする店舗経営
 理髪店や飲食店、不動産賃貸や雑貨販売店など世の中にはありとあらゆるお店が存在します。当事務所でもたくさんの業種の店舗経営オーナー様の経理・税務申告を扱ってきました。

 しかし、時代の変化とともに業界の競争は激しくなり、新たな経営手法による店舗経営事業が次々と参入してきて、既存の店舗経営の売上を侵食し、経営が難しくなってきている会社も増えてきているのも事実です。

 特にセブンイレブンやローソンなどのコンビニエンスストア業界の進出は、食料品から雑貨さらには公共料金の支払いまで、日常生活のありとあらゆる生活必需品を網羅し、今や日本社会のインフラ、ライフラインともいえるほど強固であり、普遍的な事業にまで成長してきことは、誰しもが認めるところではないでしょうか?

 しかし、ご存知の方も多いでしょうが、基本的にはコンビニエンスチェーンといえども、個々の店舗は個人事業の小規模経営であり、オーナーが本部に預託金や保証金を支払って、仕入管理や経営ノウハウはすべて本部の指示により、事細かに管理されて、売れ筋商品や陳列方法、キャンペーンまで、そのほとんどを本部から指導されていて、それに対するロイヤリティーを売上の何パーセントといった割合で収めていることは、広く知られていることです。

 また、コンビニの店舗数が増えるにつれ、一定地域内での店舗数が増えすぎるとその地域の需要を奪い合うこととなるため、当然、売上減少につながり、場合によっては共倒れになるリスクさえあるため、大手では地域の競合店舗数を数百メートルの範囲で調整を図っていることも良く知られたことだと思います。

 当然コンビニで働く人の数も増えていますが、店舗あたりの従業員数を見ると年々減っているのです。店舗数の増加のペースに、従業員確保のスピードが追いついていないと思うかもしれませんが、本部による従業員採用のためのサポートや、研修プログラムの内容は年々充実してきており、効率のいい経営を可能としているようです。 この点も、実際に利用者側であるわれわれにとっても、肌で感じているところですが、それでも人により、店舗によっても、まだ、ばらつきはあるようです。

 今回は、そうした身近な店舗ビジネスを展開するコンビニエンスストアの経営戦略と比較して、どのようなことを重視し、リスク回避していくべきなのか、見てみたいと思います。

2.明るい店舗づくり
 どんなビジネスも「長く続けること」が大事です。しかも、ビジネス・企業経営においてそのことが最も難しいことの一つだとも言われています。ことに店舗経営は地域に根ざし、その地域で愛されることが成功の秘訣ですから、長く親しまれるお店作りが不可欠です。

 そのためには、いずれも、極めて常識的で、当たり前のことのように思われますが、次の点が、重要といわれています。

 コンビニに限らずどのようなお店でも、お客様の入りやすいお店、入りにくいお店というのは、あります。まず、お客様は、入る入らないを決めるのはエントランスでの情報をもとにお店の雰囲気を知ることになるので、最初の決め手は、お店の入り口の雰囲気作りが、最も重要です。

 どうみても暗い感じのするお店、メニューもサービスも何も表示されていず、いったいこの店に入ったらどれくらい予算が必要かわからないようなお店は人は入りづらく、敬遠しがちです。

 明るい感じで入りやすいお店というのは、外から見て、明るい照明であったり、ガラス張りでどのような店員やお客さんが入っているのかが一目でわかるような造りだったり、入口に花が並んでいたり、一目でその店のサービスや価格のわかる見やすい看板が出ていたりしています。

 ですので、経費節約も必要ですが、必要以上にお店の照明を暗くしたり、また、店内が雑然としていて、清掃が行き届いていないようなお店は、お客さんはどうしても敬遠しがちになってしまいます。

3.店舗改装のリスク
 先日、店舗をリニュ―アルしたある会社に行きました時に思ったのですが、これまでは、外からでも社内の様子がわかって、どのような社員が何人くらいいて、接客スペースはどこにあり、社長はどこにいるのかまでよくわかる店舗のレイアウトでした。

 しかし、経営者が変わった途端にこれまでとは打って変わったように今風のモダンで洒落た雰囲気のデザインのエントランスに改装したのはいいのですが、これまでのように明るく一目で社内の様子がわかるような、間口の広く、気軽に入れるような雰囲気はまったくなくなってしまい、一瞬、誰にどのように声をかけたらよいのかすらわからない、とても閉鎖的な雰囲気のものに変わってしまいました。

 これでは、さすがに顧客利用者も敬遠したくなるような感じで、事実、それから数か月して売上が急に減少してしまったということすらあったようです。

 店舗のリニューアルや経営方針の大幅な転換は、会社のイメージ刷新等一時的には効果があることもありますが、従来の顧客離れを引き起こし、会社の経営に極めて重大な影響をもたらすリスクも大きいものです。

 経営トップは、顧客との間に社員が介在し、常にダイレクトな情報や数字や言葉では表現できない顧客の内面的な評価がなかなか把握できない立場にあったりすることもあります。ですので、そうした場合のドラスティックな変更には顧客や社員の意識調査や社内外での周到な準備と検討が必要です。

4.店舗経営の極意・・・「動機と動因(誘因)」
 私は実際にあるお店に入った時確認することがあります。

 それは、お客のいない時間帯に行き、外から見えるところに座って注文することです。そうするとしばらくして、次第にお客が集まりだして、出ることには満席、といったお店も実際にあります。

 それが、私の存在をみてお客が集まって来たのか、それとも、そういう時間帯に出くわしたかについて、明確な分析ができるわけでもないのですが、切っ掛けは、ほとんどの場合、先客がいるかいないかによって、来客者の反応が明らかに違ってくることです。

 要するに、お客の心理は、誰かが入店していれば、ある程度安心してそのお店に入ることができるということなのです。

 心理学では、これを「動機と動因(誘因)」として説明しています。

 人間を行動に駆り立てる要求、衝動、欲求、欲望などをすべて含む概念として動機ないしは動因と云います。

 動機と動因は行動の原動力であって、行動の「なぜ」を説明するための概念です。動因は飢え、渇きなどの生理的欲求を指す場合が多く、動機は優越、承認、親和など、社会生活のなかでの経験や学習によって獲得された心理・社会的欲求を意味することが多いのです。

「動機づけ」とは、人間に行動を生起させその活動を方向付け持続させる一連の力動的な心理過程です。

動機づけられた行動は、速く、強く、積極的かつ一貫的で、長続きします。

動機づけは、行動の推進力の働きを持つと云えます。

「具体的な働き」
1.行動を始発する働き。
2.一定の目標に行動を方向付け導く働き。
3.行動を強化する働き(行動の結果によってその行動の再現可能性を高めたり低めたりする働き)。

 行動を生起させる外部刺激を目標あるいは「誘因」と云います。「動機」があっても魅力的な目標が無い場合は行動が生起しないことがあります。

 動機と目標は密接な関係があり、一般に動機が強いと目標は強い誘引となります。目標が持つ魅力が強いと強い動機が引き起こされます。

アダルファは、人の欲求を低次なものから
1.生存(existence)
2.関係(relatedness)
3.成長(growth)
の3段階に分類し、これら3つの要求を満たそうとすることが動機となると説明しています。

 この事例では、1.生存の欲求(existence)であり、 人間が生存するのに必要な物質的、生理的なものを求める要求です。 具体的には、食事や安全な住環境、賃金や福利厚生、安全な職場環境などです。

 しかし、店舗経営という視点からするとまずはそうした「生存欲求」といった人間の持つ原始的欲求を如何に刺激して、行動に至らしめるか、それを長期継続的な消費行動に結び付けるのか・・・それを人為的に企画するのが、マーケティングの本質="店舗経営の極意"ともいえます。

5.そんなことはわかっている?
 確かに大店法施行以来、郊外型の大型店舗が小規模零細企業を駆逐してきたのは、事実といえます。

 これまで廃業に追い込まれてきたのは、街の商店街であり、個人商店です。

 先日、たまたま立ち寄った家具屋さんにお聞きしたら、以前は十数店舗あった家具屋さんもいまでは、自分のところだけだと言われてました。

 いまでは、家具といえば、IKEAやニトリ、このところ社内紛争で変な意味で脚光を浴びた大塚家具などといった大手家具店です。

 そのようなことは、いまや世界の国境を越えて新自由主義経済がグローバズムとして世界中を席巻してきていることのごく一部なのでしょう。

 たしかに消費者からすれば、イメージ戦略に長けた大手メーカーなどの販売戦略に誘導されて、相当の市場誘導に至っているし、そのことの意味としては、需要と供給原理で市場が成立したというほかありません。

 しかし、そこにも、ニッチとしての隙間が明らかに存在しいることは、事実としてあることを認識すべきことです。

 家電量販店と街の電気屋さんについても、同様のことが言えます。

 大手企業にはできても、中小零細にはできないことがあるとしても、中小零細に出来て、大手企業にはできないこともあるということを今一度検証することが、「長続きする店舗経営」の秘訣かもしれません。

 それに気づいたところだけが、生き延びています。

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投稿者 大埜治仁税理士事務所