税務コラム

2016年10月 7日 金曜日

ローカルベンチマーク・・・金融検査マニュアルの終焉と新たな融資制度の創設



ベンチマーク( benchmark)とは、本来は測量において利用する水準点を示す語で、転じて金融、資産運用や株式投資における指標銘柄など、比較のために用いる指標を意味する。また、広く社会の物事のシステムのあり方や規範としての水準や基準などを意味する。またベンチマーキングとは自社の課題解決のために、競合他社などの優れた経営手法(ベストプラクティス)を持つ企業を分析するプロセスを指します。※

7月1日、「中小企業等経営強化法」が施行され、固定資産税の軽減措置などを中心に、社会への浸透が始まりました。

この法律の根幹はあくまでも一部税の優遇といった場当たり的な政策ではなく、中小企業に対する金融機関などの融資に大きく影響を与える政策であり、かつてバブル崩壊後の金融危機に対処する方策として現行の銀行融資の基本政策となって来た「金融検査マニュアル」の抜本的な改定であり、今後、中小企業は「強化法」によって策定された「ローカルベンチマーク」により、銀行の融資審査を受けることとなっていきます。

今回は、その流れのなかで、中小企業にとって財務評価の根幹ともいえる「金融検査マニュアル」から「ベンチマークによる財務評価方式」への変更について、今後の政府方針や銀行など金融機関の現場での対応についてお伝えします。

1.金融検査マニュアルの終焉
金融検査マニュアルといえば、バブル崩壊後の金融危機以来、ここ20年近く銀行等金融機関の行う財務分析の基本的な前提となってきた、いわば「銀行融資のバイブル」といってよいほどの影響力のあるものです。

1997~98年にかけて山一証券や北海道拓殖銀行、長期信用銀行三行の相次ぐ経営破たんによる金融不況の中、各金融機関が企業融資の際、どれだけの不良債権をもっているか、国の統一された基準によって融資先企業の格付け評価を行い、そのランク応じて引当金を積み上げていくという仕組みは融資による焦げ付きを事前に回避する手段としては銀行にとっては大変有用なものでした。

しかし、一方でどの銀行も金融検査マニュアルに基づいて融資の方針を決定し、対応していくことから画一的な融資決済しか下せないという社会的な弊害を生んできたのも事実です。

この「金融マニュアル」によって、各銀行はほとんどが本店融資審査部を通して企業融資の評価をすることとなり、銀行ごとの融資判断をする能力が失われたため、一つの銀行がダメ出しすると他の銀行も同じくNGとなってしまい、企業側としてもどの銀行から借り入れていいのか判断が出来なくなり、身動きがとりにくい状態になってしまっているのです。

2.新たな中小企業評価"ローカルベンチマーク方式"
今回施行された中小企業等経営強化法に基づく、「ローカルベンチマークによる企業評価」の方式は、これまでの金融検査マニュアルによる画一的な評価と異なり「本業の実態損益や生産性が改善し、それを証明すれば、評価されやすい」といった特徴をもっています。
これまでの金融検査マニュアルは、本質的に「今企業を清算した場合、銀行がどれだけ回収不能になるか」を基礎としていることから比べると、本来あるべき企業評価方法に近いため、今後はよりベンチマーク方式による企業評価方法へと銀行融資の政策はシフトしていくことが予想され、金融検査マニュアルは、いずれは撤廃されることになると考えられています。

(1)ローカルベンチマークとは
2016年4月経済産業省 経済産業政策局の「ローカルベンチマークについて」という公表資料によると
ローカルベンチマーク検討の背景
産業資金課急激な人口減少が始まっている地域経済の持続のためには、地域企業が付加価値を生み出し、雇用を創り続けていかなければならない。
「日本再興戦略 改訂2015」(平成27年6月30日)においては、「ローカル・アベノミクス」を推進する施策として、「中小企業団体、地域金融機関等による地域企業に対する経営支援等の参考となる評価指標・評価手法(ローカルベンチマーク)」の策定が盛り込まれている。
そのような背景のもと、地域企業の経営支援等の参考となる評価指標・手法「ローカルベンチマーク」を、平成27年5月から検討会を開催し検討。
検討にあたっては、各機関で使われている分析手法等を参考にして、企業の実態を把握するために押さえておくべき基本要素を抽出しつつ、改めてそれぞれの指標や手法の意義や有効性を検証した。

(2)ローカルベンチマークの目指すもの
ローカルベンチマークが企業の経営者等と金融機関、支援機関の対話を深める入口として使われることを念頭に置いて、それぞれの利用者にとってわかりやすく、使いやすい「ツール(道具)」の検討も行われた。

ローカルベンチマークは、企業の経営状態の把握、いわゆる「健康診断」を行うツール(道具)として、企業の経営者等や金融機関・支援機関等が、企業の状態を把握し、双方が同じ目線で対話を行うための基本的な枠組みであり、事業性評価の「入口」として活用されることが期待されるものです。
ローカルベンチマークの主な利用者としては、地域金融機関 や政府系金融機関、ファンド、証券会社 等の金融機関、各地域の支援センター(地方公共団体等)や商工会・商工会議所等の支援機関が挙げられる。

さらに、地域企業の経営改善を支援する全国的な組織として、中小企業関係団体の全国組織に加え、たとえば、中小企業基盤整備機構や中小企業再生支援協議会、地域経済活性化支援機構等の活動の中に組み込まれることが期待される。
経営者自身も課題に気づき、緊張感を持って経営改善に向けた目標の設定や共有、「PDCAサイクル」を機能させるための出発点とすることが期待される。
ローカルベンチマークは、企業の経営者等と金融機関、支援機関の対話を深める入口として使われることを念頭に置いて、それぞれの利用者にとってわかりやすい、使いやすいものを目指した。

ローカルベンチマークは、あくまで基本的な枠組み、言い換えれば「入口」であって、それぞれの企業や金融機関、支援機関が独自の視点でより深い対話や理解をする出発点。
ローカルベンチマークは、「産業・金融一体となった地域経済の振興を総合的に支援するための施策」であり、地域経済施策や中小企業施策、地域金融施策の結節点となるべきものである。」(以上、「経済産業省 経済産業政策局 産業資金課「ベンチマークについて資料3-1」より抜粋 )

具体的には、「参考ツール」を活用して、「財務情報」(6つの指標)と「非財務情報」(4つの視点)に関する各データを入力することにより、企業の経営状態を把握することで経営状態の変化に早めに気付き、早期の対話や支援につなげていくものです。

※Wikipediaより引用

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投稿者 大埜治仁税理士事務所