税務コラム

2016年10月23日 日曜日

相続は地獄?!



平成27年1月1日以降の相続から相続税の基礎控除が[現行]5000万円+(1000万円×法定相続人の数)から、
[改正案]3000万円+(600万円×法定相続人の数)に引き下げられることは、今年前半に報道で大きく採り上げ
られ、ほとんどの方がご存知のところと思います。

従来の相続税は、国民の4%程度だけが対象のいわゆる富裕層に対する課税制度とみなされてきました。しか
し、今回の相続税改正後は国民の7%程度に相続税がかかる見込みといわれ、中間階層にも課税が及ぶもとの
と言われています。

それに伴いマスコミやテレビ局でも相続税対策の特集が組まれ、頻繁に報道されるようになりました。

相続税対策として、よく使われるのは、金融資産を不動産や株式など相続税評価額が実際の価額より2、3割低くなるとされる資産にシフトする方法です。

しかし、この方法は、もともと預貯金等の金融資産をたくさん持っている方がすることができる節税対策であり、一般の平均的家庭では、そうした金融資産は、老後の生活のための蓄えとしてストックしているのが一般的なため、税金対策のためだけにそれらの資産をあたら売買価格や仲介手数料が多額で、固定資産税などの維持費のかかる不動産の購入は、リスクが高く、相続時の遺産分割にも不向きな不動産や市場価格の変動を常に受けていつ元本割れするかわからない株式投資に転換してヘッジすることのメリットは、必ずしも大きいものとはいえません。

ことに相続人が複数いるご家庭の場合、通常、両親の面倒をみるため長男夫婦が両親と同居し、他の兄弟姉妹は、自立別居している家庭が大半のため、相続発生時に長男夫婦が実家を継ぎ、あとの兄弟姉妹は、金銭による代償分割という形式を採らざるを得ないというケースがほとんどです。

また、残された配偶者である妻がその後の生活資金として使うため一定の預貯金を残しておく必要もあります。

従来から住んでいる実家については、小規模住宅の評価減といった節税措置もありますし、配偶者にあっては、1億6000万円は非課税とする配偶者の税額軽減措置も現行法上担保されています。

その意味では、あたら相続対策、税金対策のために財産をシフトすることは、その資産所有状況によっては見合わせることの方がメリットが高いケースも多いように考えられます。

問題なのは、相続を心配するあまり、特定の推定相続人(相続発生以前は、将来なる予定の相続人をこう呼びます)に対して、法定相続分を超えた生前贈与を他の推定相続人の承諾を得ないで渡してしまうことです。

税法上、生前贈与については、相続発生時以前3年以内のものについては、相続財産として相続税の課税対象として、贈与税額控除を差し引くことを前提として課税対象に加えることになっています。

しかし、それ以前の贈与については、贈与税の支払い義務は生じますが、法定相続となった場合、民法上は特別受益ということになり、本人の相続分から差し引く扱いとなる場合もありますので、争族争いとならないよう注意が必要です。

争族トラブルを避けるには、遺言も一つの方法ではありますが、生前贈与の際に他の推定相続人に対しても、事前にしっかりと説明し、納得してもらうことが何よりも大切です。




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投稿者 大埜治仁税理士事務所