税務コラム

2016年9月29日 木曜日

認知症と相続



認知症は進行が緩やかなので、実際に本人や家族が気づかないうちに進んでいるケースが多い病気と言えます。

特に本人自身が単なる物忘れ程度に考えており、自覚症状があっても周囲に知られないように振る舞うため、家族もなかなか気づかないこともよくあるパターンです。

ちょっとした物忘れなら、後で思い出すことが出来るので、さほど気にする必要はありませんが、進行してくると20~30分前に話したことを記憶していなかったり、同じことを繰り返し聞き返したりして、周囲の者が気づくケースもよくあります。

認知症は地域の認定専門医の「物忘れ外来」などで診断してもらい、病状や治療方法(ほとんどが薬物療法ですが)を指導してもらうことになります。
診断方法は、初期の段階では、長谷川式簡易知能検査法が主流ですが、MRIや放射性物質による血流SPECT検査法による画像解析テストもあるようです。

全国の認知症専門医リスト

問題なのは、法律上、後見相当か、保佐人相当か、あるいは補助人相当レベルであるかによって、被後見人として法律行為ができるかどうかにかかわってくるので、遺言書を作成しても、場合によってはその効力が認められないケースも出てきてしまいます。

特に成年後見人を選任する際は、本人の意思をよく確認し、家族で十分相談したうえで、申請することが、後々の争いを防ぐポイントです。

認知症が難しいのは、本人と家族との関係では認知症だとわからないくらい闊達なコミュニケーションがあるのに、他人が介入すると閉鎖的になり、必要以上に症状が強調されて受け止められてしまうため、介護関係者にしても、法律関係者にしても、なかなか本人の実情を理解してもらえない点です。

ことに裁判となるとすでに本人もこの世に亡く、「事理弁識能力」の有無が問われることになるため、証明が非常に難しくなります。

成年後見人には、通常、家庭裁判所から指名された弁護士・司法書士・社会福祉士・税理士などが選任されることになっていますが、近年、成年後見人による財産横領・着服事件も多発しているようですので、さらに成年後見監督人をつけてもらうなどの検討も必要かもしれません。

ちなみにたいていの場合は弁護士会では国選弁護士制度と同様に持ち回りで選任を受理しているようですが、他の相続人が相談を受けるなど関係があった場合は、後見を辞退することのようです。

もちろん、後見人の横領などについては、裁判所もチェックして目を光らせているので、よほどのことがないとそうした問題とはならないと思います。資格をはく奪されてまで、不正行為をするような弁護士さんなどまずいないと言っても良いかと思いますが、こればかりはなんとも言えません。

私の知る範囲では、後見人となった弁護士さんは裁判で忙しいのに被後見人の財産管理を厳格にやっています。




このエントリーをはてなブックマークに追加
このエントリをlivedoorクリップに登録
このエントリをBuzzurlにブックマーク

投稿者 大埜治仁税理士事務所