税務コラム

2016年9月22日 木曜日

おひとり様時代の任意後見人制度


「おひとり様」という言葉が普及して大分経ちます。2010年の国勢調査では、65歳以上の一人暮らしの人数は男女合計で479万人と、5年前に比べて24%増えました。未婚率の高まりなどで、増加傾向は今後も続き20年後の35年には762万人に達すると予測されています。

高齢者の一人暮らしにはひとり故の気楽さと裏腹に気がかりなことも多いのも事実です。

亡くなったときに見つけてもらえない恐れがあるし、認知症になったり、体が不自由になったりしたときに世話をする人の確保も必要です。

また、家族や親族に迷惑をかけたくないという人が多いのも事実のようです。 「任意後見制度」は本人が契約の締結に必要な判断能力を有している間に、将来自己の判断能力が不十分になったときの後見事務の内容と後見する人(任意後見人といいます)を、自ら事前の契約によって決めておく制度です(公正証書を作成します)。

平たく言うと、今は元気でなんでも自分で決められるけど、将来は認知症になってしまうかも・・・という不安を感じている方が、将来を見越して事前に公証人役場で任意後見契約を結んでおき、「認知症かな?」と思った時に家庭裁判所に申し立てをして任意後見監督人の選任をしてもらうといったものです。

任意後見人の仕事は、まず第一に本人の「財産の管理」です。自宅等の不動産や預貯金等の管理、年金の管理、税金や公共料金の支払い等々です。

第二は、「介護や生活面の手配」です。要介護認定の申請等に関する諸手続、介護サービス提供機関との介護サービス提供契約の締結、介護費用の支払い、医療契約の締結、入院の手続、入院費用の支払い、生活費を届けたり送金したりする行為、老人ホームへ入居する場合の体験入居の手配や入居契約を締結する行為などです。

要するに任意後見人の仕事は、本人の財産をきちんと管理してあげるとともに、介護や生活面のバックアップをしてあげることです。

ただし、自分で食事のしたくをしたり、掃除をしたりという事実行為をすることではなく、あくまで介護や生活面の手配をしてあげることです。

任意後見契約は、法律上の契約ですから、法律の趣旨に反しない限り、具体的には、当事者双方の合意により、自由にその内容を決めることができます。

任意後見人の依頼は、成人であれ、破産者、本人に対して訴訟を提起したことがある者、不正な行為・著しい不行跡のある者その他任意後見人の任務に適しない事由のある人(例えば金銭にルーズな人)以外でしたら、誰でも、あなたの信頼できる人を選任することができます。

身内の者でも,友人でも全然問題ありません。 また、弁護士・司法書士・社会福祉士等の専門家に依頼してもよいし、法人(例えば,社会福祉協議会等の社会福祉法人,リーガルサポートセンター,家庭問題情報センター等々)に後見人になってもらうこともできます。

ただし、自分の財産管理を他人に委託するわけですが、横領や着服されるリスクもあります。このため、任意後見制度では本人があらかじめ選任しておいた任意後見人を家庭裁判所が選任した任意後見監督人を通じて監督してもらうことができます。

衰えの程度が軽く、まだ契約締結の能力があると判断されれば、任意後見契約を締結することができます。

本人に、契約締結の能力があるかどうかは、医師の診断書、関係者の供述等を参考にして、公証人が慎重に判断して決めます。

しかし、任意後見契約は、本来的には、ご本人が元気で、しっかりしているうちに、自ら将来の事態に備えて、自分が一番信頼できる人を自分の目で選び、その人とあらかじめ契約をして準備しておくというもので、既に認知症の症状が出てきた場合には、むしろ、法定後見の制度を利用した方が良い場合もあります。  

ただし、法定後見の場合は、一旦選任されると容易に解任することはできないので、注意が必要です。


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投稿者 大埜治仁税理士事務所