事例

2013年9月10日 火曜日

みなし寡婦控除導入と相続法




先日、お伝えした相続の際の非嫡出子、いわゆる「婚外子」に対する税制上の差別だとする問題に関連して、所得税法上の「寡婦控除」についても、「シングルマザー」など未婚のひとり親の世帯では所得をもとに算定される保育料や公営住宅の家賃に差が出るケースがあるとして、批判の対象となってきました。

今般、東京・新宿区は、未婚のひとり親の世帯のうち所得が一定以下のケースについて「寡婦控除」があったとみなして、保育料や学童クラブの利用料、区営の住宅の家賃を減免する「みなし寡婦控除」の制度を来月1日から導入することを決めたことが、本日、報道されました。

女性の社会進出に伴う晩婚化、核家族化、少子高齢化、離婚率の増加という現在の日本社会が置かれている人口問題の一端として、これらの問題は、喫緊の課題ということができると思います。

しかし、一方で、孤独死、家族の崩壊といった国民すべてがかかわる深刻な事態も着実に進行しつつある今、そうした対処療法的な対策のみならず、国民社会全体として、相続法も含めた「家族法」のあり方自体が問われているのではないでしょうか?

以前、依頼された相続で、ご主人の急死により、遺言と子供がなかったばかりに、ご主人の兄弟姉妹から甥姪までもが十数人参加する遺産分割に立ち会ったことがあります。

相続人である奥さんは、ご主人の残された家屋敷とわずかな預貯金と年金のみで、生活するのが精一杯であるにもかかわらず、親戚中がそのわずかな相続財産に対し、相続権を主張した為、生活困難の危機に晒される状況になってしまいました。

弁護士立会いのもと、何度も、分割協議の話し合いをして、そうした状況を回避すべく対処しましたが、結局、1人の相続人の一言で、すべてがひっくり返されてしまい、結局、家庭裁判所での裁判で、2年ほどかけて、なんとか奥さんの相続財産を保護することができたようでした。

こうした事例からも、現在の金銭目当ての他の親族による本来相続財産を引き継ぐべき配偶者の権利が著しく侵害されるケースは憲法第25条1項違反の疑いもあり、法的是正ないし救済措置が必要です。

しかし、こうしたケースも、まだまだ氷山の一角として、すべてが顕在化し、問題化していないケースは多々あるように思われます。

いずれにしても、人間の生存基盤である最も基本である「家庭」や「家族」を軽視し、個人の権利を中心とした戦後GHQに実験的に移植された民法典自体に、これらの問題の根源を見出すものでもあります。

「オレオレ詐欺」や官庁や大手情報企業からの個人情報の大量流出を無防備に近い放置状態に置きながら、地域社会の個人間のつながりを一律にシャットアウトしている「個人情報保護法」の異常性に異議を唱える日本人がいないことも、相当程度理解に苦しむところです。



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投稿者 大埜治仁税理士事務所