事例

2013年9月 9日 月曜日

「取引資料せん」・・・て何?



1.税務署から「取引資料せん」が送られてきました

先日、某社から「資料せん」の作成依頼がありました。 国税庁の説明では、「税務署では、適正・公平な課税の実現のため、法人及び個人の事業者の方々に「売上、仕入、費用及びリベート等」に関する資料の提出をお願いしております。」とのみ公表されています。

具体的には、売上 、仕入、外注費、リベート、建築・工事費、運送費・傭車費、印刷費、修繕費、仲介手数料 、広告宣伝費 、接待交際費 、不動産の賃借料 、その他の経費 といった勘定科目で、基本的に1取引が10万円以上か、年間取引が30万円以上のものについて、取引相手先の名称、所在地、電話番号とそれぞれの取引の発生日ないし決済日、決済方法及び取引金額等を記載して、所定の期限までに提出することが求められます。
 
しかし、納税者にとって、税務署からの「お尋ね」やこうした「取引資料せん」が送られてくると、内心「うちの会社が何をやったのだろうか?」とか、「提出した資料がどのように使われるのだろうか?」「それで取引先に迷惑はかからないだろうか?」などいろいろと不安になることもあろうかと思われます。

そこで、今回は、税務署からの「内部資料」としての「取引資料せん」について、解説したいと思います。

2.「取引資料せん」は何に使われるのか?

税務署では、現地での実地調査以外にも、それぞれの申告内容について間違いやウソがないかを所内の「資料調査課」という部署で、納税者が提出した確定申告書をはじめ、法務局の登記データや金融機関やいろいろなところからのデータを集めて、それらから、机上での調査を行っています。

そうした際に利用されるのが「取引資料せん」です。この「取引資料せん」は税務調査の反面調査の為の資料として利用されます。

提出した「取引資料せん」は、基本的には、提出した企業の取引を調べるものではなく、提出した企業の「取引先」の調査に利用する資料となるのです。

従って、取引資料せんの提出をお願いされた側が、税務調査の対象にあがっているということではなく、提出された「取引資料せん」をもとに税務調査を行うための資料を作るという流れになります。

取引資料せんは任意の文書なので、取引内容を全てくまなく記入して提出しなければならないということはなく、「問題のなさそうな」取引先の取引資料を選んで提出する、ということも可能です。

3.「取引資料せん」はどのような根拠によるものなのか?

「資料せん」を提出しないとどうなるのか?

取引資料せんは「法定外文書」なので法律的な根拠のない非公式な書類となります。このため、取引資料せんは、管轄税務署から「任意」での提出をお願いされるものなので、提出しない場合も特に罰則規定があるわけではありません。

あくまでも「取引資料せん」は、税務署の情報収集作業のひとつなので、「提出しないと、何か不利に扱われるのではないか?」と心配される向きもあるかとは思われますが、そうした「法廷外文書」であるとの建前上、提出しない納税者に不利に働くことはないとされています。

ただし、そのことが、「非協力的」として調査官の心証を悪くすることがまったくないとは、断言はできないものでもあります。

そういうことで、提出を拒否すると税務署から電話がかかってきて、提出を催促されることもあるようですので、その点は、理解しておいてください。


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投稿者 大埜治仁税理士事務所